MWGを勉強するスレ
economy/1188 / 63 レス / 2007/01/08〜2008/09/11
- 1 :名無しさんの冒険:2007/01/08(Mon) 19:06
- MWGの練習問題を解いたり,疑問点を解消したりするスレッドです.
よろしくお願いします. - 2 :名無しさんの冒険:2007/01/08(Mon) 19:10
- さっそく一問目を解きました.間違いや別解などを指摘して下さると助かります.
選好関係の記号がIMEで見つからなかったので,不等号で代用しています.
ご了承ください.
1.B.1(P7)
選好関係≧が合理的であるという仮定の下で,
x>y≧z ⇒ x>z
が成り立つことを証明せよ.
解答
x>yより,厳密な選好関係の定義からx≧yが成り立つ.
これとx≧zから,選好関係の推移性より,
x≧z …①
が成り立つ.次に,
x>y≧z ⇒ z≧x
と仮定する.
y≧zとz≧xに選好関係の推移性を適用すると,y≧xだが,これは
x>yが意味する¬(y≧x)に矛盾する.したがって仮定は誤りであるから
¬(y≧x) …②
となる.①と②より,
(x≧z)∧¬(y≧x)⇔x>z
が成り立つ.■ - 3 :名無しさんの冒険:2007/01/08(Mon) 19:14
- 解答の訂正です.以後気をつけます.
(2行目)
「これとx≧zから」→「これとy≧zから」 - 4 :名無しさんの冒険:2007/01/08(Mon) 19:19
- 再びすいません.終盤でタイポがあったので,解答を上げなおします.
解答
x>yより,厳密な選好関係の定義からx≧yが成り立つ.
これとy≧zから,選好関係の推移性より,
x≧z …①
が成り立つ.次に,
x>y≧z ⇒ z≧x
と仮定する.
y≧zとz≧xに選好関係の推移性を適用すると,y≧xだが,これは
x>yが意味する¬(y≧x)に矛盾する.したがって仮定は誤りであるから
¬(z≧x) …②
となる.①と②より,
(x≧z)∧¬(z≧x)⇔x>z
が成り立つ.■ - 5 :名無しさんの冒険:2007/01/08(Mon) 20:09
- 無差別関係における推移性が成り立たない例として,p7でjust perceptible differences
が挙げられています.どうでもよいことなのかもしれませんが,これの日本語での訳語と
として定まったものはありますか?いろいろ探したのですが見つかりません. - 6 :名無しさんの冒険:2007/01/08(Mon) 21:55
- 勝手に勉強しろよ。解答集もあるんだから(日本人がつくった)、終了。
- 7 :名無しさんの冒険:2007/01/09(Tue) 04:38
- 問題1.B.2の前半(P15)
選好関係≧が合理的であるという仮定の下で,
(1)¬(x>x)
(2)x>y∧y>z⇒x>z
が成り立つことを証明せよ.
(1)の解答
x>xが成り立つと仮定すると,厳密な選好関係の定義より,
(x≧x)∧¬(x≧x) …①
が成り立つ.これは選好関係≧の完備性
(x≧y)∨(y≧x) …②
に反する.したがって,仮定は誤りであるから¬(x>x)である.■
質問
①が②に反することを形式的な操作で示すにはどうすればよいのですか?
つまり,①を変形して
¬((x≧y)∨(y≧x))
を得ることは可能ですか? - 8 :名無しさんの冒険:2007/01/09(Tue) 04:38
- (2)の解答
厳密な選好関係の定義より,x>y∧y>zのとき,
x≧y∧y≧z ⇔ x≧z …①
が成り立つ.次に,x>y∧y>zのときz≧xが成り立つと仮定する.x>yから得
られるx≧yと仮定のz≧xに関して,選好関係の推移性を適用するとz≧yが
得られるが,これはy>zが意味する¬(z≧y)と矛盾する.したがって,仮定
は誤っており,
¬(z≧x) …②
である.①と②より,
(x≧z)∧¬(z≧x) ⇔ x>z■ - 9 :名無しさんの冒険:2007/01/09(Tue) 04:44
- (1)の解答と質問の訂正です.すいません.
x>xが成り立つと仮定すると,厳密な選好関係の定義より,
(x≧x)∧¬(x≧x) …①
が成り立つ.これは選好関係≧の完備性
(x≧x)∨(x≧x) …②
に反する.したがって,仮定は誤りであるから¬(x>x)である.■
質問
①が②に反することを形式的な操作で示すにはどうすればよいのですか?
つまり,①を変形して
¬((x≧x)∨(x≧x))
を得ることは可能ですか? - 10 :名無しさんの冒険:2007/01/10(Wed) 01:10
- [1.B.2の後半(P15)]
選好関係≧が合理的であるとき,無差別関係~について以下が成り立つ
ことを証明せよ.
(1)∀x,y∈X(x~x)
(2)∀x,y,z∈X(x~y∧y~z⇒x~z)
(3)∀x,y∈X(x~y⇒y~x)
[(1)の解答]
選好関係≧の完備性より,∀x∈X(x≧x∨x≧x)である.
x≧x∨x≧x ⇔ x≧x
⇔ x≧x∧x≧x
⇔ x~x (~の定義)■
[(2)の解答]
x~y∧y~z ⇔ (x≧y∧y≧x)∧(y≧z∧z≧y) (~の定義)
⇔ (x≧y∧y≧z)∧(y≧x∧z≧y)
⇔ (x≧z)∧(z≧x) (≧に関する推移性)
⇔ x~z (~の定義)■
[(3)の解答]
x~y ⇔ x≧y∧y≧x (~の定義)
⇔ y≧x∧x≧y
⇔ y~x (~の定義)■ - 11 :名無しさんの冒険:2007/01/10(Wed) 01:54
- [1.B.3]
f:R→Rが狭義の単調増加関数であり,u:X→Rが選好関係≧をあらわす
効用関数であるとする.このときv(x)=f(u(x))で定義される関数v:X→R
もまた,選好関係≧を表す効用関数であることを示せ.
[解答]
(表記の問題として,選択肢x,y∈Xにおけるx≧yの「≧」は選好関係を表
し,実数x,y∈Xにおけるx≧yの「≧」は不等号を表すとする.)
u:X→Rは選好関係≧をあらわす効用関数であるから,∀x,y∈Xに対して,
x≧y ⇔ u(x)≧u(y) …①
が成り立つ.f:R→Rは狭義の単調関数であるから一価関数である.すなわち,
u(x)=u(y) ⇔ f(u(x))=f(u(y)) …②
が成り立つ.また,f:R→Rは狭義の単調増加関数であるから,u(x),u(y)∈Rに
対して,
u(x)>u(y) ⇔ f(u(x))>f(u(y)) …③
が成り立つ.①②③より,∀x,y∈Xに対して,
x≧y ⇔ u(x)≧u(y)
⇔ u(x)=u(y) ∨ u(x)>u(y)
⇔ f(u(x))=f(u(y)) ∨ f(u(x))>f(u(y))
⇔ v(x)=v(y) ∨ v(x)≧v(y)
⇔ v(x)≧v(y)
したがって,v:X→Rは選好関係≧を表す効用関数である.■ - 12 :名無しさんの冒険:2007/01/10(Wed) 02:06
- 他のスレでのやりとりから,僕以外にもMWGをこれから読もうとしている方がいらっしゃ
るように見受けられました.よろしければ,1章の練習問題で解けたものの解答,自信の
ない解答などをupしてくださいませんか?共感できるところがあると思いますし,また,
ここには博識な方々がいらっしゃるので,アドバイスを頂けるかもしれません. - 13 :名無しさんの冒険:2007/01/10(Wed) 02:53
- >>07>>09
矛盾式(PかつPでない)からは何を導いてもかまいません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%BD%E9%A1%8C%E8%AB%96%E7%90%86
>>10
[(2)の解答]の3つ目の「⇔」は「⇒」であるべき。
>>11
用語法の問題ですが、「一価関数」ではなく、「単射」「一対一」と呼ばれます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%98%E5%B0%84 - 14 :名無しさんの冒険:2007/01/10(Wed) 10:54
- >>13
レスありがとうございます.とても勉強になります.
いただいたコメントとWikipediaの記事を参考に,解答を修正させてください.
[問題1.B.2の前半の(1)(P15)]
選好関係≧が合理的であるという仮定の下で,
¬(x>x)
が成り立つことを示せ.
[解答]
x>xが成り立つと仮定すると,厳密な選好関係の定義より,
(x≧x)∧¬(x≧x)
となり,これは矛盾である.したがって,仮定は誤りであるから
¬(x>x)である.■ - 15 :名無しさんの冒険:2007/01/10(Wed) 11:53
- [1.B.4]
選好関係≧が合理的であるとする.u(x)=u(y)のときはx~yであることを意味し,
u(x)>u(y)のときはx>yであることを意味するとする.このとき,u(・)は選好関
係≧を表す効用関数であることを示せ.
[解答]
(表記の問題として,選択肢x,y∈Xにおけるx≧yの「≧」は選好関係を表
し,実数x,y∈Rにおけるx≧yの「≧」は不等号を表すとする.)
任意のx,y∈Xに対してu(x)≧u(y)とする.このとき
u(x)≧u(y) ⇔ u(x)>u(y)∨u(x)=u(y)
⇔ x>y∨x~y (題中の条件)
⇔ (x≧y∧¬(y≧x))∨(x≧y∧y≧x) (>,~の定義)
⇔ (x≧y)∧(¬(y≧x)∨y≧x) (分配律)
⇔ (x≧y)∧I (排中律)
⇔ x≧y
したがって,u(・)は選好関係≧を表す効用関数である.■ - 16 :名無しさんの冒険:2007/01/11(Thu) 12:37
- [1.C.1]
選択肢の集合Xの部分集合からなる集合族β=({x,y},{x,y,z})において,
choice ruleがC({x,y})={x}であるようなchoice structure(β,C(・))が
あるとする.(β,C(・))が顕示選好の弱公準を満たすとき,
C({x,y,z})={x},{z},{x,z}
であることを示せ.
[解答]
C({x,y,z})の結果としてありえる場合をすべて列挙すると,
{x},{y},{z},{x,y},{y,z},{x,z},{x,y,z} …①
の7通りになる.題意よりC({x,y})={x}であり,これは,
「x,y∈B∧x∈C(B)であるようなB∈βが存在する」
ことを意味する.このとき,顕示選好の弱公準から,
「x,y∈B∧y∈C(B)∧¬(x∈C(B))であるようなB∈βは存在しない」
したがって①の中で,
{y},{x,y},{y,z},{x,y,z}
は結果としてありえないので,
C({x,y,z})={x},{z},{x,z}
となる.■ - 17 :名無しさんの冒険:2007/01/11(Thu) 12:42
- [1.B.5]
選択肢の集合Xが有限集合であり,選好関係≧がXにおいて合理的であるとする.このとき,選好関係≧を表す効用関数u:X→Rが存在することを示せ.
まだ解けていません.難しいです.Xが有限集合であるということで,数学的帰納法を使う方針でいろいろ考えているのですが上手くいきません.アドバイスをいただけると幸いです. - 18 :名無しさんの冒険:2007/01/12(Fri) 14:33
- [1.B.5]
選択肢の集合Xが有限集合であり,選好関係≧がXにおいて合理的であるとする.
このとき,選好関係≧を表す効用関数u:X→Rが存在することを示せ.
[解答]
Xは有限なN個の要素をもつ集合であるとし,これをX(N)と表記する.上の命題は,
∀x,y∈X(N) (x>y∨x=y ⇔ u(x)>u(y)∨u(x)=u(y)) …①
と同値である.
Xの要素がxだけのとき,¬(x>x)であるから,
x∈X(1) x≧x⇔x~x
である.また,明らかに,
x~x⇔u(x)=u(x)
である.したがって,
x∈X(1) (x=x⇔u(x)=u(x))
となり,これは命題①を満たす.
Xの要素がN-1個であるとき①が成り立つと仮定する.すなわち,
∀x,x'∈X(N-1) (x>x'∨x=x' ⇔ u(x)>u(x')∨u(x)=u(x'))
である.¬(y∈X)であるような選択肢yを導入し,yとX(N-1)の要素の関係を考えると,
(a) ∃x∈X(N-1) (y~x)
(b) ∀x∈X(N-1) (y>x)
(c) ∀x∈X(N-1) (x>y)
(d) ∃x,x'∈X(N-1) (x>y>x')
によって全てが網羅される.(a)のときは,
u(y)=u(x)
となるようにu(y)∈Rを定めれば①の命題は満たされる.そしてそのようなu(y)は明らか
に存在する.(b)のときは,
u(y)>Max{u(x)|x∈X(N-1)}
となるようにu(y)∈Rを定めれば,①の命題は満たされる.そしてそのようなu(y)は明ら
かに存在する.(c)のときは,
u(y)<Min{u(x)|x∈X(N-1)}
となるようにu(y)∈Rを定めれば,①の命題を満たす.そしてそのようなu(y)は明らか
に存在する.(d)のときは
u(x)>u(y)>u(x')
となるようにu(y)∈Rを定めれば,①の命題を満たす.そしてそのようなu(y)は明らか
に存在する.以上からX(N)においても①の命題が成り立つことが示された.■ - 19 :名無しさんの冒険:2007/01/12(Fri) 14:34
- 上の解答は,手探り状態でわけもわからずやっとの思いで作ったものなので,間違いが
あると思います.指摘していただけると助かるのですが. - 20 :名無しさんの冒険:2007/01/13(Sat) 15:59
- >>18
(d)のケースで、x(や x')を選ぶときに、
x > z > y となる z が存在しないように選んでおく必要があります。
(これは X が有限であることから従うはずです。)
さもないと、u(x) > u(y) > u(x') となるように u(y) を選んだだけでは、
x や x' 以外の X(N-1) の元との大小関係が保たれるとは限りません。
もっと直接的に u(x) = #{y ∈ X : x ≧ y} としても示せます。(#S は集合 S の要素の個数。)
x ≧ y ならば、推移性より {z ∈ X : x ≧ z} ⊇ {z ∈ X : y ≧ z} なので、u(x) ≧ u(y) です。
あとは、完備性より「x > y ならば u(x) > u(y)」を示せば十分ですが、
こっちは、x が {z ∈ X : x ≧ z} に含まれるけど {z ∈ X : y ≧ z} には含まれないことから分かります。 - 21 :名無しさんの冒険:2007/03/12(Mon) 23:20
- しばらく放置状態でしたが,テストも終わり,春休みに入ったので再開しま
す.知識もすっかり抜けたので,はじめからやります.「テキストのまとめ」
→「問題演習」というサイクルでやることにします.sage進行でひっそりやる
予定ですが,参加者は超募集中です. - 22 :名無しさんの冒険:2007/03/12(Mon) 23:28
- 第1章 選好関係
選好関係
■定義(選好関係)選択肢の集合Xに属する選択肢x,y∈Xについて,xをyより
も悪くないと判断するとき,xをyより選好する(x is preferred to y)とい
い,
x≧y
と書く.この二項関係≧を選好関係(preference relation)という.
■定義(厳密な選好関係)選択肢の集合Xに属する選択肢x,y∈Xに関する選好
関係を≿とするとき,厳密な選好関係(strict preference relation)>は,
x>y⇔x≧y∧¬(y≧x)
で定義される.そしてこれを,「xをyより厳密に選好する(x is strictly
preferred to y)」と読む.
■定義(無差別関係)選択肢の集合Xに属する選択肢x,y∈Xに関する選好関係
を≧とするとき,無差別関係(indifference relation)∼は,
x∼y⇔x≧y∧y≧x
で定義される.そしてこれを,「xとyは無差別である(x is indifferent to
y)」と読む. - 23 :名無しさんの冒険:2007/03/12(Mon) 23:33
- 文字化けひでえw 再アップします.
★要約
第1章 選好関係
選好関係
■定義(選好関係)選択肢の集合Xに属する選択肢x,y∈Xについて,xをyより
も悪くないと判断するとき,xをyより選好する(x is preferred to y)とい
い,
x≧y
と書く.この二項関係≧を選好関係(preference relation)という.
■定義(厳密な選好関係)選択肢の集合Xに属する選択肢x,y∈Xに関する選好
関係を≧とするとき,厳密な選好関係(strict preference relation)>は,
x>y ⇔ x≧y∧¬(y≧x)
で定義される.そしてこれを,「xをyより厳密に選好する(x is strictly
preferred to y)」と読む.
■定義(無差別関係)選択肢の集合Xに属する選択肢x,y∈Xに関する選好関係
を≧とするとき,無差別関係(indifference relation)~は,
x~y ⇔ x≧y∧y≧x
で定義される.そしてこれを,「xとyは無差別である(x is indifferent to
y)」と読む. - 24 :名無しさんの冒険:2007/03/12(Mon) 23:41
- ★コメント
一般に,選好関係≧,厳密な選好関係>,無差別関係~の間には,
x>y∨x~y ⇔ x≧y
という関係が成り立ちそうです.なぜならば,
x >y∨x~y ⇔ (x≧y∧¬(y≧x))∨(x≧y∧y≧x) (>,~の定義)
⇔x≧y∧(¬(y≧x)∨y≧x) (分配律)
⇔x≧y (¬(y≧x)∨y≧xはトートロジー)
となるからです. - 25 :名無しさんの冒険:2007/03/12(Mon) 23:57
- ★要約
合理的な選好関係
■定義(合理的な選好関係)選好関係≧が以下の2つの仮定を満たすとき,そ
の選好関係は合理的(rational)であるという.
1.完備性(Completeness):∀x,y∈X(x≧y∨y≧x)
2.推移性(Transitivity):∀x,y,z∈X(x≧y∧y≧z⇒x≧z)
■注(完備性と推移性の解釈)選好関係に関する完備性の仮定は,人間が2つ
の選択肢に直面したとき,常に一方が他方より悪くないと判断を下せるだろう
と想定することに相当する.また,推移性の仮定は,人間の選好が循環しない
だろうと想定することに相当する.具体的には,リンゴはバナナより悪くない
と判断し,かつ,バナナはオレンジより悪くないと判断するとき,リンゴはオ
レンジより悪くないと判断すると想定するのは自然である. - 26 :名無しさんの冒険:2007/03/12(Mon) 23:58
- ★要約
合理的な選好関係の下で成り立つ性質
■定理(合理的な≧のもとでの>の性質)選好関係≧が合理的であれば,厳密
な選好関係>は以下の性質をもつ.
1.非反射性(Irreflexivity):∀x∈X(¬(x>x))
2.推移性(Transitivity):∀x,y,z∈X(x>y∧y>z ⇒ x>z)
■証明
(1の証明)x>xが成り立つと仮定する.すなわち,
x>x ⇔ x≧x∧¬(x≧x)
これは矛盾である.したがってx>xは成り立たない.
(2の証明)厳密な選好関係>の定義より,
x>y∧y>z ⇔ (x≧y∧¬(y≧x))∧(y≧z∧¬(z≧y))
⇔ (x≧y∧y≧z)∧(¬(y≧x)∧¬(z≧y))
⇒ x≧z …①
となる.次に,x>y∧y>z⇒z≧xが成り立つと仮定する.z≧xと,x>yから得ら
れるx≧yに選好関係の推移性を適用するとz≧yが得られるが,これはy>zが意
味する¬(z≧y)と矛盾する.したがって,z≧xが成り立つという仮定は誤りで
あるから,
x>y∧y>z⇒¬(z≧x) …②
である.①②から,x>y∧y>z⇒x≧z∧¬(z≧x)⇔x>z - 27 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 00:05
- ★要約
■定理(合理的な≧のもとでの~の性質)選好関係≧が合理的であれば,無差
別関係~は以下の性質をもつ.
1.反射性(Reflexivity):∀x∈X(x~x)
2.推移性(Transitivity):∀x,y,z∈X(x~y∧y~z ⇒ x~z)
3.対称性(Symmetry):∀x,y∈X(x~y ⇒ y~x)
■証明
(1の証明)合理的な選好関係≧の完備性より,∀x∈X(x≧x∨x≧x)である.
したがって,
x ≧x∨x≧x ⇔ x≧x (ベキ等律)
⇔ x≧x∧x≧x (ベキ等律)
⇒ x~x (推移律)
(2の証明)
x~y∧y~z ⇔ (x≧y∧y≧x)∧(y≧z∧z≧y) (定義)
⇔ (x≧y∧y≧z)∧(y≧x∧z≧y)
⇒ (x≧z)∧(z≧x) (推移律)
⇔ x~z (定義)
(3の証明)
x~y ⇔ x≧y∧y≧x (定義)
⇔ y≧x∧x≧y (交換律)
⇔ y~x (定義) - 28 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 00:15
- ★要約
■定理(合理的な≧のもとでの>と~の関係)選好関係≧が合理的であれば,
≧と>の間に以下の関係が成り立つ.
x>y≧z ⇒ x>z
■証明
まず,
x>y≧z ⇒ x≧y∧y≧z ⇒ x≧z …①
が成り立つ.次に,x>y≧z ⇒ z≧xが成り立つと仮定する.y≧zとz≧xに選好
関係の推移性を適用するとy≧xだが,これはx>yが意味する¬(y≧x)に矛盾す
る.したがって仮定は誤りであるから,
x>y≧z⇒¬(z≧x) …②
である.①②より,x>y≧z ⇒ x≧z∧¬(z≧x) ⇔ x>z
★コメント
テキストでは(あたりまえすぎるから?)触れられていないが,とても役に立
つので,以下の内容を定理として大げさにまとめる.
■定理(合理的な≧と>の関係)
選好関係≧が合理的であれば,≧と>の間に以下の関係が成り立つ.
¬(x≧y)⇔y>x
■証明 選好関係≧が合理的ならば,¬(x≧y)のとき≧の完備性よりy≧xが成
り立つ.したがって,
¬(x≧y) ⇔ y≧x∧¬(x≧y) ⇔ y>x - 29 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 00:20
- ★要約
選好関係の合理性が成り立たないケース
■例(Just perceptible differences)無差別関係の推移性の仮定が成り立た
ない場合として just perceptible differencesがある.ペンキの色のように,
財の種類が連続的に変化するとき,きわめて似通った二つの財A, Bに関して消
費者の選好は無差別であり,同様に,きわめて似通った二つの財B, Cに関して
消費者の選好は無差別である.こうした段階的な選択を繰り返し,最終的にき
わめて似通った二つの財Y, Zに関して消費者の選択が無差別であったとしても,
あらためて二つの財A, Zを比較したとき,今度は二つの財の間に明確な差異が
存在するので,消費者はA, Zのどちらかを選好するが,これは無差別関係の推
移性に反している.こうした問題を just perceptible differences という.
■例(Framing problem)同じ問題でも,提示の仕方が異なると,選択者の選
好が変わってしまうという問題を framing problem という.例えば,600人を
殺すと予想される伝染病があり,それに対して二つのプログラムが立案されて
いるとする.それらは,
x :200人を救うプログラム
y :3分の1の確率で600人を救うが,3分の2の確率で1人も救えないプログラム
であるとしよう.この選択肢をある被験者のグループに提示したところ,72%
の被験者がyよりもxを好んだ.一方,別の被験者のグループには,次の選択肢
を提示した.
x' :400人が死ぬプログラム
y' :3分の1の確率で誰も死なないが,2分の3の確率で600人が死ぬプログラム
すると,被験者の78% はx'よりもy'を好んだ.だが,xとx',yとy'はそれぞれ
期待効用が等しい.つまり,x~x',y~y'であるにもかかわらず,x>yとy'>x'
という正反対の選好が成り立ってしまうという矛盾が発生している. - 30 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 00:28
- ■例(多数決による決定)合理的な選好をもつ個人の集団が多数決によって選
好関係を決定するとき,その選好が推移律に反することがある.例えば,父・
母・子の3人家族がそれぞれ,オペラ鑑賞(O)・ロックコンサート(R)・スケ
ート(S)に関して以下の選好を持っているとする.
父親の選好:I>O>R
母親の選好:O>R>I
子供の選好:R>I>O
このとき,多数決で2つの選択肢の間の選好関係を決定すると,それぞれ,
O>R, R>I, I>O すなわち O>R>I>O
となり,これは厳密な選好関係の推移律に反している.
■例(change-of-tastes model)選好自身がその選好関係を変えた結果,選好
が推移律に反するようになることがある.例えば,これからタバコを吸おうと
考えている人が,
x :タバコを吸わない
y :タバコを1日1本吸う
z :タバコをたくさん吸う
という選択肢に直面したとき,当初はxの状態にあり,そのときの選好は
y>x>z …①
であったとする.そこで,選好にしたがってyを選択すると,中毒により選択
者はより多くのタバコが吸いたくなるので,その選好は
z>y>x …②
に変化する.①②より,z>x>zが成り立つが,これは厳密な選好関係の推移律
に反している. - 31 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:00
- ★要約
効用関数
効用関数
■定義(効用関数)選択肢の集合をX,実数全体の集合をRとするとき,関数
u:X→Rが任意のx,y∈Xに対して,
x≧y ⇔ u(x)≥u(y)
を満たすならば,この関数uは選好関係≧を表す効用関数(utility function)
であるという.
■定理(>,~に対応する関係)関数uが選好関係≧を表す効用関数であるとき,
>,~にはそれぞれ以下の関係が対応する.
1. x>y ⇔ u(x)>u(y)
2. x~y ⇔ u(x)=u(y)
■証明
(1の証明)
x>y ⇔ x≧y∧¬(y≧x)
⇔ u(x)≥u(y)∧¬(u(y)≥u(x))
⇔ u(x)≥u(y)∧u(x)>u(y)
⇔ u(x)>u(y)
(2の証明)
x~y ⇔ x≧y∧y≧x
⇔ u(x)≥u(y)∧u(y)≥u(x)
⇔ u(x)=u(y)
■定理(効用関数の導出)u(x)=u(y)のときはx~yであることを意味し,
u(x)>u(y)のときはx>yであることを意味するとする.このとき,関数uは選好
関係≧を表す効用関数である.
■証明
任意のx,y∈Xに対してu(x)≥u(y)とする.このとき,
u(x)≥u(y) ⇔ u(x)>u(y)∨u(x)=u(x)
⇔ x>y∨x~y
⇔ (x≧y∧¬(y≧x))∨(x≧y∧y≧x)
⇔ (x≧y)∧(¬(y≧x)∨y≧x) (分配律)
⇔ x≧y (¬(y≧x)∨y≧xはトートロジー)
したがって,u(⋅)は選好関係≧を表す効用関数である. - 32 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:02
- 文字化け乙.ということで再up
★要約
効用関数
効用関数
■定義(効用関数)選択肢の集合をX,実数全体の集合をRとするとき,関数
u:X→Rが任意のx,y∈Xに対して,
x≧y ⇔ u(x)≧u(y)
を満たすならば,この関数uは選好関係≧を表す効用関数(utility function)
であるという.
■定理(>,~に対応する関係)関数uが選好関係≧を表す効用関数であるとき,
>,~にはそれぞれ以下の関係が対応する.
1. x>y ⇔ u(x)>u(y)
2. x~y ⇔ u(x)=u(y)
■証明
(1の証明)
x>y ⇔ x≧y∧¬(y≧x)
⇔ u(x)≧u(y)∧¬(u(y)≧u(x))
⇔ u(x)≧u(y)∧u(x)>u(y)
⇔ u(x)>u(y)
(2の証明)
x~y ⇔ x≧y∧y≧x
⇔ u(x)≧u(y)∧u(y)≧u(x)
⇔ u(x)=u(y)
■定理(効用関数の導出)u(x)=u(y)のときはx~yであることを意味し,
u(x)>u(y)のときはx>yであることを意味するとする.このとき,関数uは選好
関係≧を表す効用関数である.
■証明
任意のx,y∈Xに対してu(x)≧u(y)とする.このとき,
u(x)≧u(y) ⇔ u(x)>u(y)∨u(x)=u(x)
⇔ x>y∨x~y
⇔ (x≧y∧¬(y≧x))∨(x≧y∧y≧x)
⇔ (x≧y)∧(¬(y≧x)∨y≧x) (分配律)
⇔ x≧y (¬(y≧x)∨y≧xはトートロジー)
したがって,u(⋅)は選好関係≧を表す効用関数である. - 33 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:03
- 効用関数の性質
★コメント
効用関数の定義が言っているのは,x≧yの場合には,xに対応させる実数
u(x)がyに対応させる実数u(y)以上になるという2つの実数の相対的な大小関係
だけであって,u(x)がu(y)よりもどれだけ大きい値になるかという問題には触
れていない.u(x)≧u(y)という関係を保持する関数uは複数考えられるので,
一つの選好関係に対応する効用関数も複数存在する.以下の定理で扱うような,
増加関数が関わる合成関数などは,典型的な例である.なお,相対的な大きさ
に注目して表現された効用を序数的効用(Ordinal Utility)という.
★要約
■定理(効用関数の非一意性)f:R→Rが狭義の単調増加関数であり,u:X→Rが
選好関係≧を表す効用関数であるとする.このとき,x∈Xに関して
v(x)=f(u(x))
で定義される関数v:X→Rもまた,選好関係≧を表す効用関数である.
■証明
u:X→Rは選好関係≧をあらわす効用関数であるから,∀x,y∈Xに対して,
x≧y ⇔ u(x)≧u(y) …①
が成り立つ.f:R→Rは狭義の単調増加関数であるから1対1の関数である.した
がって,
u(x)=u(y) ⇔ f(u(x))=f(u(y)) …②
が成り立つ.また,やはりf:R→Rは狭義の単調増加関数であるから,
u(x),u(y)∈Rに対して,
u(x)>u(y) ⇔ f(u(x))>f(u(y)) …③
が成り立つ.①②③より,∀x,y∈Xに対して,
x≧y ⇔ u(x)≧u(y)
⇔ u(x)=u(y)∨u(x)>u(y)
⇔ f(u(x))=f(u(y))∨f(u(x))>f(u(y))
⇔ v(x)=v(y)∨v(x)>v(y)
⇔ v(x)≧v(y)
が成り立つ.したがって,v:X→Rは選好関係≧を表す効用関数である. - 34 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:04
- ★要約
■注(合理的な選好関係と効用関数の関係)合理的な選好関係と効用関数の関
係を考えると,効用関数で表される選好関係は合理的か,という問題と,合理
的な選好関係を表す効用関数は常に存在するか,という両方向の問題が考えら
れる.結論から言うと,効用関数で表される選好関係は常に合理的であり,ま
た,合理的な選好関係を表す効用関数は,条件つきで存在する.これを以下の
定理にまとめる.
■定理(効用関数で表現された≧)効用関数によって表される選好関係は常に
合理的である.
■証明
(完備性の証明)Xを選択肢の集合,Rを実数の集合とする.効用関数u:X→Rは
実数値を出力するので,任意のx,y∈Xに対して,
u(x)≧u(y)∨u(y)≧u(x) …①
が成り立つ.一方,uは選好関係≧を表すので,①より,
x≧y∨y≧x
が成り立つ.したがって≧は完備性を満たす.
(推移性の証明)x,y,z∈Xに対して,
x≧y∧y≧z …②
が成り立つとする.uは選好関係≧を表すので,①より,
u(x)≧u(y)∧u(y)≧u(z) ⇒ u(x)≧u(z) …③
が成り立つ.uは選好関係≧を表すので,③より,
u(x)≧u(z)⇔x≧z
となるので,結局,x≧y∧y≧z⇒x≧zであるから,≧は推移性を満たす. - 35 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:05
- ■定理(有限集合Xにおける効用関数)選択肢の集合Xが有限集合であり,選好
関係≧がXにおいて合理的であるとする.このとき,選好関係≧を表す効用関
数
u:X→R
が存在する.
■証明
ある元z∈Xに対し,x≧zであるような元x∈Xの集合を
{z∈X,x≧z}
と書くこととし,選好関係x≧zが表すこの集合に対して,集合に含まれる要素
の個数を割り当てる関数u(x)を考える.
(x≧y⇒u(x)≧u(y)の証明)x≧yという仮定のもとでは,
y≧z⇒x≧z (≧の推移律)
となるので,2つの集合に関する包含関係
{z∈X,y≧z}⊆{z∈X,x≧z}
が成り立つ.したがって,この包含関係から
u(y)≤u(x)
が成り立つ.
(u(x)≧u(y)⇒x≧yの証明)合理的な選好関係のもとでは,≧の完備性によっ
て¬(x≧y)⇔y>xが成り立つ.そこで命題の対偶をとると,
y>x⇒u(y)>u(x)
となる.合理的な選好関係のもとでは>に関しても推移律が成り立つので,先と同様の手順によってこれが成り立つことが示せる.具体的には,y>xという仮定のもとでは,
(x>z⇒y>z) (>の推移律)
⇔ {x∈z,x>z}⊂{z∈z,y>z}
⇔ u(x)>u(y) (←怪しい.厳密な突っ込みよろ.)
となる. - 36 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:07
- ウホ!文字化けw
■定理(有限集合Xにおける効用関数)選択肢の集合Xが有限集合であり,選好
関係≧がXにおいて合理的であるとする.このとき,選好関係≧を表す効用関
数
u:X→R
が存在する.
■証明
ある元z∈Xに対し,x≧zであるような元x∈Xの集合を
{z∈X,x≧z}
と書くこととし,選好関係x≧zが表すこの集合に対して,集合に含まれる要素
の個数を割り当てる関数u(x)を考える.
(x≧y⇒u(x)≧u(y)の証明)x≧yという仮定のもとでは,
y≧z⇒x≧z (≧の推移律)
となるので,2つの集合に関する包含関係
{z∈X,y≧z}⊆{z∈X,x≧z}
が成り立つ.したがって,この包含関係から
u(y)≦u(x)
が成り立つ.
(u(x)≧u(y)⇒x≧yの証明)合理的な選好関係のもとでは,≧の完備性によっ
て¬(x≧y)⇔y>xが成り立つ.そこで命題の対偶をとると,
y>x⇒u(y)>u(x)
となる.合理的な選好関係のもとでは>に関しても推移律が成り立つので,先と同様の手順によってこれが成り立つことが示せる.具体的には,y>xという仮定のもとでは,
(x>z⇒y>z) (>の推移律)
⇔ {x∈z,x>z}⊂{z∈z,y>z}
⇔ u(x)>u(y) (←怪しい.厳密な突っ込みよろ.)
となる. - 37 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 22:15
- 春休み中の大学生よ,オレと一緒にMWG
よ ま な い か? - 38 :名無しさんの冒険:2007/03/13(Tue) 23:41
- >>26
背理法を使うときは、
「x>y∧y>z⇒z≧xが成り立つと仮定する」じゃなく
「x>y∧y>z∧z≧xが成り立つと仮定する」ですよ。
「PならばQ」の否定は「Pかつ(Qでない)」だから。
>>28も同様。 - 39 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 00:59
- >>38
ありがとうございます.超うれしいです.ためになります.
★>>26の修正
■定理(合理的な≧のもとでの>の性質)選好関係≧が合理的であれば,厳密
な選好関係>は以下の性質をもつ.
2.推移性(Transitivity):∀x,y,z∈X(x>y∧y>z⇒x>z)
■証明
(2の証明)x>y∧y>zが真であるとする.厳密な選好関係>の定義より,
x>y∧y>z ⇔ (x≧y∧¬(y≧x))∧(y≧z∧¬(z≧y))
⇔ (x≧y∧y≧z)∧(¬(y≧x)∧¬(z≧y)) (結合律)
⇒ x≧z …①
が成り立つ.次に,
x>y∧y>z⇒¬(z≧x) …②
の否定である
¬(x>y∧y>z∧z≧x) …③
が真であると仮定する.このとき,
¬(x>y∧y>z∧z≧y) ⇔ ¬(x≧y∧¬(y≧x)∧y≧z∧¬(z≧y)∧z≧x)
⇔ ¬(x≧x∧¬(y≧x)∧¬(z≧y)) (≧の推移律)
⇒ ¬(x≧x)
となる.¬(x≧x)は常に偽であるから③は偽であるので,その否定の②は真で
ある.したがって,①②から,x>y∧y>z ⇒ x≧z∧¬(z≧x) ⇔ x>z
★疑問
ところで,MWGは厳密な選好関係の非反射性や無差別な選好関係の反射性を取
り上げてはいるものの,選好関係の反射性には言及してません.他のテキスト
やネット上の文書の中には,選好関係の完備性や推移性とならんで反射性を挙
げているものもありますが,こういう違いはどこから生じるんですか? - 40 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 01:08
- ★>>28の修正
■定理(合理的な≧のもとでの>と~の関係)選好関係≧が合理的であれば,
≧と>の間に以下の関係が成り立つ.
x>y≧z ⇒ x>z
■証明
まず,
x>y≧z ⇒ x≧y∧y≧z ⇒ x≧z …①
が成り立つ.次に,
x>y≧z ⇒ ¬(z≧x) …②
の否定である
¬(x>y≧z∧z≧x) …③
が成り立つと仮定すると,
¬(x>y≧z∧z≧x)⇒¬(x≧x) (≧の推移性)
となるが,¬(x≧x)は常に偽であるから(3)は偽である.したがって(3)の否定
である(2)は真なので,(1)(2)より,
x>y≧z ⇒x≧z∧¬(z≧x) ⇔ x>z - 41 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 07:52
- >>39
≧の反射性は完備性から導けるので不要です。
ほかの場合、>の推移性だけから非反射性や、
~の推移性と対称性だけから反射性は導けないので、
これらの仮定は「必要」です。
(推移性と対称性があれば、反射性の代わりに、それを弱めたもの
「各 x に応じて x~y となる y が少なくともひとつ取れる」でも「十分」です。)
また、非反射性と推移性を満たすような二項関係>があれば、
そこから
x ≧ y ⇔ ¬(y > x)
によって≧を「定義」すると、≧は完備性と推移性を満たします。
つまり、>に非反射性と推移性を仮定するだけで「十分」です。
(~から≧を「定義」するのは無理だけど。) - 42 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:39
- >>41
ちょっとした美意識の違いとしか思っていなかったのですが,きちんとした理
由があるんですね.何気ない質問にここまで答えてくださるとは.僕が言うの
もなんですが,底の深さを感じました.マジすごい.
完備性から反射性が導けるとは,
x≧x∨x≧x⇒x≧x
ということですか. - 43 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:40
- ★要約
選択構造
■定義(予算集合)
選択肢の集合をXとし,Xの部分集合の中で空集合でないものの集合族をβとす
る.このとき,βの要素
B∈β
を予算集合(budged sets)という.
■注(予算集合)
定義から,予算集合Bは選択肢の集合Xの部分集合である.また,定義では,X
の空でない部分集合がすべてβに含まれなければならないとは言っていない.
したがって,選択肢の集合Xの部分集合のすべてが予算集合Bである必要はない.
このことは,現実の決定者が様々な制約の下に置かれていて,その制約のもと
で決定しなければならないことを反映している.
■例(予算集合)
選択肢の集合がX={x,y,z}ならば,β={{x},{x,y},{x,y,z}}がβの例として考
えられる.そしてこのとき,{x},{x,y},{x,y,z}それぞれが予算集合に相当す
る.
■定義(選択ルール)
各々の予算集合B∈βに対して,Bに含まれる要素からなる空でない集合を割り
当てるルールを選択ルール(choice rule)といい,C(B)と書く.すなわち
∀B∈β(C(B)⊂B)
である.
■注(選択ルール)
先の例で言えば,{x},{x,y},{x,y,z}という複数の予算集合それぞれに対して,
一つの選択ルールC(・)が空でない集合を割り当てるということである.した
がって,例えば,
C({x})={x}, C({x,y})={x}, C({x,y,z})={x,y}
と出力をする選択ルールC(・)が考えられる.C(B)は空集合でなければいくつ
要素を含んでいてもよい.例えば,C({x,y})={x}は決定者がxという選択肢だ
けを選ぶということであり,C({x,y,z})={x,y}は決定者がxとyのどちらをも選
びうるということを意味している. - 44 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:40
- 定義(選択構造)
選択肢の集合Xの部分集合の中で空でないものの集合族βと,選択ルールC(・)
の組
(β,C(・))
を選択構造(choice structure)という.
■例(選択構造)
選択肢の集合X={x,y,z}に関する選択構造(β,C(・))の例として,
β={{x,y},{x,y,z}}, C({x,y})={x}, C({x,y,z})={x,y}
となるものや,
β={{x},{x,y,z}}, C({x})={x}, C({x,y,z})={x}
となるものなどが考えられる. - 45 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:41
- 顕示選好の弱公準
★コメント
予算集合を元としてもつ集合族と選択ルールの組として選択構造は定義された
が,そこでは選択ルールの性質については何も触れていなかった.選好関係に
おいては,完備性や推移性という常識に即した仮定を設けたが,選択ルールに
おいてもそのようなルールを設定するのは自然であろう.具体的には,ある予
算集合において決定者がyよりもxを選んだならば,別の予算集合において決定
者がyを選ぶのにxを選ばないということがあってはならないと考えるのは常識
に合致しているだろう.これを定式化したのが顕示選好の弱公準である.
★要約
■定義(顕示選好の弱公準)
選択構造(β,C(・))に関して,xとyを元として含む2つの予算集合B,Bを考えた
とき,Bにおいてxが選ばれ,かつ,B'においてyが選ばれるならば,このとき
B'においてもxが選ばれるならば,すなわち,B,B∈β, x,y∈B,B'という条件
の下で,
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ x∈C(B')
が成り立つならば,この選択構造(β,C(・))は顕示選好の弱公準(weak
axiom of revealed preference)を満たすという.
★コメント
顕示選好の弱公準とは,B,B∈β,x,y∈B,B'という条件の下で,
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ x∈C(B') …①
が成り立つことだが,yに焦点を当ててこれを見るならば,
y∈C(B')∧x∈C(B) ⇒ y∈C(B) …②
も成り立つことがわかる.したがって,①②を総合すると,顕示選好の弱公準
が成り立つときには,
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ x∈C(B')∧y∈C(B)
が成り立つことがわかる. - 46 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:42
- ★要約
■定理(同値な定義)
顕示選好の弱公準は,B,B∈β,x,y∈B,B'という条件の下で,
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ {x,y}⊆C(B)∧{x,y}⊆C(B')
が成り立つことと同値である.
■証明
便宜上,顕示選好の弱公準をp,上の定理中の命題をqとする.
(p⇒qの証明)B,B∈β∧x,y∈B,B'という条件のもとで,顕示選好の弱公準が成
り立つとき,すなわち,
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ x∈C(B') …(p)
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ y∈C(B)
が真であるとき,
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ x∈C(B')∧y∈C(B) …(p')
もまた真になる.一方で命題qは,B,B∈β∧x,y∈B,B'という条件のもとで,
x∈C(B)∧y∈C(B')⇒{x,y}⊂C(B)∧{x,y}⊂C(B') …(q)
が成り立つことである.p⇒qの代わりにp'⇒qを示してもよい.つまり,
p' ⇒ x∈C(B)∧y∈C(B')∧x∈C(B')∧y∈C(B)
⇒ {x,y}⊂C(B)∧{x,y}⊂C(B')
⇔ q
(q⇒pの証明)B,B∈β∧x,y∈B,B'という条件をpとqは共有している.このとき,
q ⇔ (x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ {x,y}⊂C(B)∧{x,y}⊂C(B'))
⇒ (x∈C(B)∧y∈C(B')⇒{x,y}⊂C(B'))
⇒ (x∈C(B)∧y∈C(B')⇒x∈C(B'))
⇔ p - 47 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:43
- 顕示選好関係による表現
■定義(顕示選好関係)
選択構造(β,C(・))が与えられたとき,顕示選好関係(revealed preference
relation)≧*を,x,y∈Bという条件のもとで,
x≧*y ⇔ x∈C(B)
と定義する.そしてこのとき,x≧*yを,「xをyより顕示する(x is revealed
at least as good as y)」と読む.
★コメント
テキストの中には非公式なものとしての扱いを受けているが,ここでは大げさ
に,厳密な顕示選好関係というものを定義する.
■定義(厳密な顕示選好関係)選択構造(β,C(・))が与えられたとき,厳密な
顕示選好関係(strict revealed preference relation)>*を,x,y∈Bという
条件のもとで,
x>*y ⇔ x∈C(B)∧¬(y∈C(B))
と定義する.そしてこのとき,x>*yを,「xをyより厳密に顕示する」と読む.
★要約
■定義(顕示選好の弱公準)
選択構造(β,C(・))に関して,xとyを元として含む任意の予算集合Bにおいて,
xをyより顕示するときに,yをxより厳密に顕示することはないならば,すなわ
ち,x,y∈Bであるような∀B∈βにおいて,
x≧*y ⇒ ¬(y>*x)
が成り立つならば,この選択構造(β,C(・))は顕示選好の弱公準を満たすとい
う. - 48 :名無しさんの冒険:2007/03/14(Wed) 20:43
- ★コメント
上の弱公準の対偶は便利なので,一応触れておく.
顕示選好関係の弱公準x≧*y⇒¬(y>*x)の対偶をとると,
y>*x⇒¬(x≧*y)
となる.これが役立つ例として,下の問題を挙げる.
★要約
■問題
選択構造(β,C(・))は顕示選好の弱公準を満たし,
β={{x,y},{x,y,z}},C({x,y})={x}
であるとする.このとき,選択ルールC(・)は予算集合{x,y,z}に対して何を出
力するか?
■解答
C({x,y,z})の結果としてありえる集合をすべて列挙すると,
{x},{y},{z},{x,y},{y,z},{x,z},{x,y,z} …①
の7つである.C({x,y})={x}を,厳密な顕示選好関係>*を用いて表現すると,
x>*yだが,このことと顕示選好の弱公準の対偶
x>*y⇒¬(y≧*x)
より,¬(y≧*x)が成り立つ.すなわち,x,yを元として含み,y∈C(B)である
ような予算集合B∈βは存在しない.したがって,①の中で,
{y},{x,y},{y,z},{x,y,z}
は結果としてはありえないので,C({x,y,z})={x},{z},{x,z}となる. - 49 :名無しさんの冒険:2007/03/15(Thu) 02:19
- >>42
完備性から反射性の証明はおっしゃるとおりです。 - 50 :名無しさんの冒険:2007/03/15(Thu) 16:15
- ★コメント
人間の選択行動を定式化するツールとして,選好関係と選択構造という2つを
導入した.そして,選好関係に関しては完備性と推移性が成り立つという仮定
をおき,選択構造に関しては顕示選好の弱公準という概念を考えた.そこで,
選好関係と選択構造の関係を考えてみると,合理的な選好関係のもとでは選構
造は顕示選好の弱公準を満たすかという問題と,それとは逆に,選択構造が
顕示選好の弱公準を満たすときに選好関係は合理的であるかという2方向の問
題を考えることができる.ここでは初めの問題を考えることにして,まず,選
好関係と選択構造を結びつける「選好関係による選択構造の生成」という概念
について述べた後,合理的な選好関係によって生成された選択構造は顕示選好
の弱公準を満たすことを示す.
★要約
選好関係と選択構造の関係
合理的な選好関係がつくる選択構造
■定義(合理的な選好関係による選択構造の生成)
合理的な選好関係≧をもつ決定者の選択ルールC*(・)は,予算集合B∈βに対
して,
C*(B,≧)={x∈B|∀y∈B(x≧y)}
というBの部分集合を出力する.このC*(B,≧)が,任意の予算集合B∈βに対し
て空集合でないとき,合理的な選好関係≧は選択構造
(β,C*(・,≧))
を生成する(generate)という. - 51 :名無しさんの冒険:2007/03/15(Thu) 16:15
- ■定理(有限なXでの選択構造の生成)
選択肢の集合Xが有限集合ならば,合理的な選好関係をもつ決定者の選択ルー
ルは,任意の予算集合の中から空でない部分集合を選ぶ.すなわち,空集合で
ない∀B∈βに対して,
C*(B,≧)≠φ
が成り立つ.
■証明
Xが有限集合ならば,Xの部分集合である任意の予算集合Bも有限集合であり,
かつ,条件よりBは空でない.
Bが1つの元からなる集合B={x}である場合は,x≧xが常に成り立つので,
C*(B,≧)={x}
である.したがってこのとき命題は成り立つ.
Bがn-1個の集合である場合に命題が成り立つと仮定する.そしてこのとき,
C*(B,≧)=Y
とおくことにしよう.Yは空でないBの部分集合である.
Bがn個の集合である場合には,新たに増えた1つの要素zと,Yに含まれる任意
の要素y∈Yの関係を考えたとき,
z≧y∨y≧z (≧の完備性)
となる.z≧yの場合には,選好関係の推移律より,Yの元でないBの任意の元m
に対してもz≧mとなるので,結局,
C*(B,≧)={z}
となる.y≧zの場合には,明らかに
C*(B,≧)=Y
である.したがって,有限n個の元をもつ集合Bに関してもC*(B,≧)は空集合で
ないことが示された. - 52 :名無しさんの冒険:2007/03/15(Thu) 16:15
- ★疑問
MWGのp12,15行目には,
「if X is finite , or if suitable (continuity) conditions hold, then
C*(B,≧) is nonempty for all B∈β」
とあります.Xが有限である場合については上の定理として証明した(つもり)
ですが,もう一つの連続性については意味がわかりません.ここでの連続性と
は,何に関するどのような性質を言っているのでしょうか? - 53 :名無しさんの冒険:2007/03/15(Thu) 16:16
- ■定理(合理的な≧が生成する選択構造)
合理的な選好関係≧が生成する選択構造(β,C*(・,≧))は,顕示選好の弱公準
を満たす.
■証明
(下準備)顕示選好の弱公理とは,選択構造(β,C(・,≧))の選択ルール
C(・,≧)に関して,B,B∈β,x,y∈B,B'という条件の下で
x∈C(B)∧y∈C(B') ⇒ x∈C(B')
が成り立つことであった.したがって,合理的な選好関係≧が生成する選択構
造(β,C*(・,≧))が顕示選好の弱公理を満たすとは,選択ルールC*(・,>)に関
して,B,B∈β,x,y∈B,B'という条件の下で
x∈C*(B,≧)∧y∈C*(B',≧) ⇒ x∈C*(B',≧) …①
が成り立つことに他ならない.
(本題)x,y∈B,B'であるような2つの予算集合B,B'∈βを考える.合理的な選
好関係≧が生成する選択ルールC*(・,≧)に関して①の仮定x∈C*(B,≧)が成
り立つとすると,このとき,(β,C*(・,≧))の定義より,
x∈C*(B,≧) ⇒ ∀y∈B(x≧y) …②
が成り立つ.もう一方の①の仮定y∈C*(B',≧)が成り立つとすると,このとき,
(β,C*(・,≧))の定義より,
y∈C*(B',≧) ⇒ ∀z∈B'(y≧z) …③
が成り立つ.②③に合理的な選好関係≧の推移律を適用すると,
x ∈ C*(B,≧)∧y∈C*(B',≧)
⇒ ∀y∈B(x≧y)∧∀z∈B'(y≧z)
⇒ ∀z∈B'(x≧z)
⇒ x∈C*(B',≧)
となる.これは①の結論に他ならない. - 54 :名無しさんの冒険:2007/03/16(Fri) 19:47
- 顕示選好の弱公準を満たす選択構造がつくる選好関係
■定義(合理的選好関係による選択ルールの合理化)
任意の予算集合に対して,決定者の選択ルールと合理的な選好関係が生成する
選択ルールが一致するとき,すなわち,∀B∈βに対して,
C(B)=C*(B,≧)
が成り立つとき,「合理的な選好関係≧は,βとの関連で選択ルールC(・)を
合理化(rationalizes)する」という.
■定理(選択ルールを合理化する選好関係の非一意性)
βとの関連で選択ルールC(・)を合理化するような合理的な選好関係は複数存
在する.
■証明
選択肢の集合X={x,y}における選択構造
β={{x},{y}}, C({x})={x}, C({y})={y}
を考える.
x≧y …①
であるような合理的な選好関係と,その否定である
y≧x∧¬(x≧y) …②
は同時に成り立たないから,①と②の選好関係は別のものである.
①については,x≧x,y≧yが成り立つので,
C*({x},≧)={x}, C*({y},≧)={y}
であるから,この合理的な選好関係は選択ルールを合理化する.
②については,x≧x∧¬(x≧x)⇒x≧x,y≧y∧¬(y≧y)⇒y≧yが成り立つので,
やはり,
C*({x},≧)={x}, C*({y},≧)={y}
であるから,この合理的な選好関係も選択ルールを合理化する.したがって,
異なる2つの合理的な選好関係が共通の選択ルールを合理化することが示され
た. - 55 :名無しさんの冒険:2007/03/16(Fri) 19:48
- ■定理(選択ルールを合理化する選好関係の存在)
予算集合を元にもつ集合族βが,選択肢の集合Xに含まれる2つの元からなる
集合をすべて含むとき,選択ルールを合理化する合理的な選好関係が高々一つ
存在する.
■証明
選択肢の集合Xに含まれる2つの元からなる集合がすべて予算集合としてβに含
まれており,かつ,選択ルールは任意の予算集合に対して空集合でない集合を
出力する.このことは,∀x,y∈Xに対して,
C({x,y})={x}∨{y}∨{x,y}
が成り立つことを示す.これと一致する選択ルール
C*({x,y},≧)={x}∨{y}∨{x,y}
を考えてみると,これは選好関係≧が完備性
x≧y∨y≧z …①
を満たすことを示している.さて,①の選好関係が推移性を満たさないと仮定
してみよう.すなわち,∀x,y,z∈Xに対して,
¬(x≧y∧y≧z⇒x≧z)
⇔ ¬(¬(x≧y∧y≧z)∨x≧z)
⇔ ¬(¬(x≧y∧y≧z∧¬(x≧z)))
⇔ x≧y∧y≧z∧¬(x≧z) …②
¬(y≧x∧z≧y⇒z≧x)
⇔ ¬(¬(y≧x∧z≧y)∨z≧x)
⇔ ¬(¬(y≧x∧y≧z∧¬(z≧x)))
⇔ y≧x∧y≧z∧¬(z≧x) …③
②③から,
x≧y∧y≧z∧¬(x≧z)∧y≧x∧y≧z∧¬(z≧x)
⇒ ¬(x≧z)∧¬(z≧x)
⇒ ¬(x≧z∨z≧x)
となる.これはつまり,予算集合{x,z}がβに含まれないことを意味するので
条件に反する.したがって選好関係は推移性を満たす. - 56 :名無しさんの冒険:2007/03/16(Fri) 19:48
- ■定理(弱公準をみたす選択ルールを合理化する合理的な選好関係)
ある選択構造が顕示選好の弱公準を満たすとしても,その選択ルールを合理化
する合理的な選好関係が存在するとは限らない.
■証明
選択肢の集合X={x,y,z}に関して,
β={{x,y},{y,z},{x,z}}, C({x,y})={x}, C({y,z})={y}, C({x,z})={z}…①
であるような選択構造(β,C(・))を考える.
(顕示選好の弱公準を満たすことの証明)顕示選好の弱公準とは,任意の2つ
の予算集合B,B'∈βに関して,
a,b∈B∧a,b∈B'∧a∈C(B)∧b∈C(B') ⇒ a∈C(B') …②
が成り立つことであった.だが,①であるような選択構造のもとでは,a,b∈B
かa,b∈B'のどちらか一方は任意の2つの予算集合B,B'∈βにおいて偽なので,
②の仮定は常に偽となり,したがって,仮定が偽である命題②は常に真になる.
したがって,①を満たす選択構造は顕示選好の弱公準を満たす.
(合理的な選好関係が存在しないことの証明)選択構造C(・)と選好関係が生
成する選択構造C*(・,≧)が一致するならば,①より
C*({x,y},≧)={x}, C*({y,z},≧)={y}, C*({x,z},≧)={z}
となるが,これらはそれぞれ
x>y, y>z, z>x …③
であることを示している.だがこれは推移性に反しているので,選好関係が合
理的でないことが示された. - 57 :名無しさんの冒険:2007/03/16(Fri) 19:49
- ■定理(弱公準を満たす選択構造がつくる選好関係)
選択構造(β,C(・))が顕示選好の弱公準を満たし,かつ,3つ以下の元からな
る選択肢の集合Xの部分集合がすべてβに属するならば,任意の予算集合に対
して選択ルールを合理化する合理的な選好関係が存在する.すなわち,∀B∈
βに対して,
C(B)=C*(B,≧)
を満たす合理的な選好関係≧が存在する.
■証明
(証明の指針)選択ルールを合理化する合理的な選好関係の候補としては,完
備性と推移性の仮定さえ満たしていれば一般の選好関係≧でなくてもよい.そ
こでここでは顕示選好関係≧*を考えることにする.そして,顕示選好関係が
合理的であることを示した後,合理的な顕示選好関係が生成する選択ルールが
決定者の選択ルールと一致することを証明すればよい. - 58 :名無しさんの冒険:2007/03/16(Fri) 19:50
- (顕示選好関係の合理性の証明)選択ルールC(・)が生成する二項関係として
は,顕示選好関係
∀x,y∈B(x≧*y⇔x∈C(B)) …①
が考えられるが,まずは,この顕示選好関係が,定理中の条件の下では合理的
であることを証明する.
(完備性の証明)3つ以下の元からなる選択肢の集合Xの部分集合がすべてβに
属するという条件より,予算集合{x,y}∈βを考えることができる.この予算
集合に対して,選択ルールC(・)は,
C({x,y})={x}∨{y}∨{x,y}
という結果を返しうる.①よりこれは,
x≧*y∨y≧*x
ということであり,これは≧*が完備性を満たすということに他ならない.
(推移性の証明)先ほどと同じ理由から予算集合{x,y,z}∈βを考えることが
でき,顕示選好関係≧*に関してx≧*y∧y≧*zが成り立つことを仮定する.証
明すべきことは,この条件下でx≧*zが成り立つことであるが,その代わりと
して
x∈C({x,y,z}) …②
を示してもよい.なぜならば,顕示選好関係の定義より,
x∈C({x,y,z})⇒x≧*z
だからである.さて,選択ルールC(・)の定義よりC({x,y,z})≠φであるから,
x,y,zの少なくとも一つがC({x,y,z})に含まれることになる.x∈C({x,y,z})な
らば②そのものが得られる.y∈C({x,y,z})ならば,これと仮定x≧*yを付き合
わせると,顕示選好の弱公準より②が成り立つ.z∈C({x,y,z})ならば,これ
と仮定y≧*zを付き合わせると,顕示選好の弱公準より②が成り立つ.したが
って,いずれの場合も②が成り立つ. - 59 :名無しさんの冒険:2007/03/16(Fri) 19:50
- (顕示選好関係が選択ルールを合理化することの証明)証明すべきことは
∀B∈βに対して,
C(B)=C*(B,≧*)
が成り立つことである.
(C(B)⊆C*(B,≧*)の証明)顕示選好関係の合理性は示されたので,この合理
的な選好関係によって生成される選択構造
(β,C*(・,≧*)) s.t. C*(B,≧*)={x∈B|∀y∈B (x≧*y)} …③
を考えることができる.したがって,
x∈C(B) ⇔ ∀y∈B (x≧*y) (≧*の定義)
⇒ x∈C*(B,≧*) (③より)
が成り立つ.部分集合の定義より,これはC(B)⊆C*(B,≧*)と同値である.
(C*(B,≧*)⊆C(B)の証明)①より,
x ∈C*(B,≧*) ⇔ ∀y∈B (x≧*y) (③より)
⇒ ∃B'∈β s.t. x,y∈B'∧x∈C(B')
⇒ x∈C(B) (顕示選好の弱公準)
が成り立つ.部分集合の定義より,これはC*(B,≧*)⊆C(B)と同値である.以
上からC(B)=C*(B,≧*)が成り立つ. - 60 :名無しさんの冒険:2007/03/17(Sat) 14:01
- チャプターが終わって区切りがいいので,少し距離空間の勉強をします.誰で
も良いので,よかったら2章のまとめをドゾー. - 61 :名無しさんの冒険:2008/07/24(Thu) 16:09
- だれか教えてください。
日本企業の多国籍化の歴史的経緯とその特徴を、米英企業と比較の上、述べなさい。
この問題が分らないのです↓ - 62 :名無しさんの冒険:2008/08/23(Sat) 10:32
- あのう、ミクロ経済学の大学院のコースワークのテキストは
10年前と今も変わらずMWGなんですかねえ。 - 63 :名無しさんの冒険:2008/09/11(Thu) 05:02
- 選択肢の集合をXとし,Xの部分集合の中で空集合でないものの集合族をβとす
る.このとき,βの要素
B∈β
を予算集合(budged sets)という